スケッチ・ショウ

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『BOSS』堂場瞬一

ブラッド・ピット主演の映画「マネー・ボール」をご覧になっただろうか?
統計学的分析(セイバーメトリクス)を駆使して優勝争いから遠ざかっていたアスレチックスを立て直したゼネラルマネージャー(GM)、ビリー・ビーンの物語だ。野球に興味がなくともデータマネジメントや経営に興味があればぜひ観ていただきたい。いわゆる野球映画とは少しちがう、プロジェクトXのようなわくわくする映画だ。
ところで『BOSS』である。
これもまた野球小説ではあるが、主役はフィールドの外で闘うGMである。
いくつかのメジャーリーグのチームでスタッフとして経験を積み、ニューヨークメッツのGMに就任した高岡。チーム全体で出塁率を上げて確実に点を取り、失点は最小限に。スモールベースボール」を武器にメッツをリーグ首位に導き、マスコミは革命児であるともてはやす。数字に基づいて論理的に勝つという自分のスタイルに疑いをもたない高岡は、ときに選手やスタッフ、オーナー、そしてファンの意に反してでも自分の意志を貫く。
もう一人の主人公、アトランタブレーブスGM、ウィーバー。半世紀以上にわたってメジャーリーグに携わる名物GMだが、かつて高岡はこのウィーバーの部下でもあった。おしゃべりで明るく、まさに「アメリカのおやじ」を地でいくが、その豊富な経験に裏打ちされた眼は他の追随を許さない。
かつての師弟が同じリーグで繰り広げるペナントレース。勝つのは気鋭の若手GMか、経験豊富なベテランGMか。
フィールドには出てこないGMという仕事がこんなにも深くおもしろいものとは。

BOSS

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