MINOTAKE LIFE

死ぬまで無事系サラリーマンの、身の丈に合った生活

孫ラブを隠さない、究極の私小説:『孫物語』椎名誠

椎名誠も老いたものだなあ、と思う。
いや、これはdisっているのではない。
旅に講演に焚き火にと忙しく飛び回っていた椎名誠が、東京で孫家族と近所に住み、その生活を楽しんでいる。そしてこの生活こそが、これまでで最も充実しているように思えるのだ。
「三匹の怪獣」シリーズは、まだ過去の延長線上にあった。しかしこの本は、初めて知る椎名誠がいる。
数年経ったとき、これが始まりの一冊であったといわれる作品ではないか。
70歳を越えて、いよいよ庄野潤三のような究極の私小説家になるのではないか…そんな予感がある。

孫物語

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